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シマノ ポイズンアルティマ 5ピース 166L-BFS/5 | 実釣インプレ

シマノ ポイズンアルティマ 5ピース 166L-BFS/5

2020年末、シマノの最高峰バスロッド「ポイズンアルティマ」に電撃的な新登場を果たした5ピースモデル。単にハイエンドモデルを高度な技術でマルチピース化したのではなく、「バスロッドが本来あるべき姿」を追求した結果の5ピース設計に注目が集まりました。

その「ポイズンアルティマ 5ピース」に、2021年モデル「166L-BFS/5」が追加ラインナップ。
ややもすれば特殊な用途ですが、必要な方にとっては手放せないベイトフィネスロッドが、最高峰とも言えるマルチピースロッドにラインナップされたのは嬉しい限りですね。
本記事では、「ポイズンアルティマ 5ピース 166L-BFS/5」を実際に使ってみたインプレをレビューします。

ポイズンアルティマ5ピース 166L-BFS/5 | 魅力と特徴

公式サイト

品番 全長 継数 仕舞寸法 自重 先径 適合ルアー 適合ライン 適合PE グリップ長 テーパー カーボン含有率 定価(円)
166L-BFS/5 1.98m 5 47.4cm 90g 1.3mm 3.5~10g 6~12lb - 210mm FF 99.9% 95,000

「ポイズンアルティマ5ピース 166L-BFS/5」の性能・スペックは上記の通り。

年々タフでシビアになるフィールドに対し、フィネスゲームの新基軸として登場したベイトフィネスロッド。スピニングタックルだけでは攻め切れない、カバーやオカッパリでの繊細なゲームを強力にサポート。1/16ozクラスのスモラバやダウンショットリグをシャープな操作感で繊細に操作可能、という堂々の謳い文句。

個人的には、手返しの良さと操作性・キャスティングに丁度いい6.6フィートという長さが気に入っています。
シマノのベイトフィネスモデルは、ワーミングや撃ち物用途なショートロッドと、ロングディスタンス攻略や巻物への対応力を持たせたロングロッドといった両極のラインナップが多め。
1本で丁度良い長さだと思える番手は意外と少なめでした。

バーサタイルなベイトロッドであれば、定番の6フィート10インチ~7フィート前後がベストな使いやすさだと考えていますが、近距離へのアプローチや細かな操作が多いフィネス用途では、長すぎず短すぎないこの長さが気に入っています。

最先端最高峰のテクノロジー・採用新技術

ポイズンアルティマ 5ピースには、様々な最新技術・テクノロジーが採用されています。
詳細に興味をお持ちの方は、次の記事も参考にしてみてください。

出典:シマノ※2021年追加機種を追記しました。ポイズンアルティマが5分割にバラバラだぁああ!!ビッグニュースが飛び込んで...

ポイズンアルティマ5ピースで最も特徴的な特性は、「適材適所」の設計思想に基づいて、トーナメントスペックのバスロッドアクションを追求した事。最高のロッドアクションを追求した結果として、1ピースではなく、5ピース化が選択されています。

その最たる技術が、「マルチピースUBD(アルティメットブランクスデザイン)」。

ポイズンアルティマやポイズングロリアスといったハイエンド1ピースロッドは、ティップやベリー、バットでそれぞれ弾性の異なる素材を適材適所に配置し、必要な用途に応じた性能を1本に凝縮していました。
しかし、ハイパワーXやスパイラルXコアといった様々な技術を1本に凝縮しているため、部位によってはオーバースペックとなる事も。
1本のロッドでパーフェクトなバランスを完成させるために、機能が重複して過剰になっていた部位もあったようです。

ポイズンアルティマ5ピースでは、ティップ・ベリー・バット、それを繋ぐ各ピースにおいて、採用技術そのものを最適化。パワーの必要なバットはツブレに強い「スパイラルX」のみ、ブレを抑えたい穂先部分には「ハイパワーX」のみ、どちらの特性も必要な箇所には両技術を採用するなど、ピースごとの最適化設計を施しています。
また、各ピースの長さを均等に分割するのではなく、アクションを出しやすい「ステップレングスデザイン」で不均等化するなど、そのこだわりと追求は細部まで徹底。

つまり、1ピースでは形にすることが難しいある種の理想形を、最高のロッドアクション実現に向けて追求した結果としてのマルチピース化。
ポイズンアルティマ5ピースは、単なるハイエンドモデルのマルチピース化ではない、大胆で革新的な最新テクノロジーが結集したロッドと言えますね。

使用用途

ポイズンアルティマ5ピース 166L BFS は、1/16ozクラスのスモラバやダウンショット、3~4インチのネコリグ、5g前後のシャッドや10g以下のプラグまで、幅広いベイトフィネスが快適です。

合わせるリールやラインセッティング次第ですが、近距離であればトレーラ無しの1/16ozスモラバでも十分キャスト可能。比重の軽いシュリンプ系のトレーラーでも問題ありませんでした。
ただ、ブランクスは繊細ながら芯に強さがあるので、オカッパリ等で飛距離も求めるのであれば、比重が高めなトレーラーを装着して、総重量3.5gあたりの重さが欲しいイメージ。
ダウンショットについても同様で、2インチクラスの小さなワームであれば、2.2gあたりのシンカーから使いやすくなると感じました。

またライトリグだけでなく、1/4ozクラスのワイヤーベイトや、3.5~5gシンカーでの底物、10g前後のクランク、5インチ以上のネコリグなど、ベイトフィネスとしては比較的強めなルアーも扱える強さがあります。

外観、デザイン、使用感

ポイズンアルティマ5ピースは、専用のハードケースに収められています。
そこから布ケースを取り出し、1ピースずつパーツを取り出す動作からもフラッグシップに相応しい満足感。

やや残念な点を挙げると、布ケースの縫製が少し甘いかな..と感じました。
またハードケースも、輸送時の保護といった目的重視な作りで、同じシマノ製マルチピースロッド「ワールドシャウラドリームツアーエディション」のような豪華絢爛で過剰なクオリティは感じられません。

しかし、布袋に収められている5つに分割されたポイズンアルティマは、漆黒のボディ1つ1つに独特なオーラを放つかのような質感があります。初めてポイズンアルティマ5ピースを取り出した時、思わずため息が出て、そっと指で撫でてみた程。
ワールドシャウラを輝くスポーツカーに例えるなら、ポイズンアルティマは伝統ある高級車のような質感が感じられました。
その外観・デザインは、最高級のマルチピースロッドとして確かなクオリティを堪能できます。

軽やか

ポイズンアルティマ5ピースはどのモデルも非常に軽量ですが、特に166L-BFS/5は自重90gとマルチピースモデルとは思えないスペック。
全体のバランスも良く、各セクションを組み上げたロッドを手にすると、空間に何の重みを感じない程の軽やかさ。ブラックを基調としたカラーリングデザインで無ければ、手の内にあるはずのロッドを見失ってしまうかのような軽量・高バランスに仕上がっています。

パックロッドとしても携帯できる5ピースモデルが、ここまでハイクオリティな仕上がりである事は正直驚きですね。
シリーズ発表当初はあまりに高価な価格設定にも驚きましたが、その価値を秘めたロッドであると言えます。

継ぎ目

▲166L-BFS/5の1ピース目は、とにかく薄く細く繊細で、それでいてしっかりとした作り。

ポイズンアルティマ5ピースの各セクションパーツは、恐ろしく薄く、軽く、そして繊細。
ハイエンドロッドを見慣れていたつもりの自分でも、「本当にこれで大丈夫?」と思えるような、パッと見で華奢な仕上がり。
特に、ベイトフィネスモデル「166L-BFS/5」の先径は1.3mmで、ソリッドティップかと思えるような細さです。
その細い穂先、チューブラーの中空を構築する壁面は、もはや尋常ではない薄さ、細やかさ。
一見、軽く握っただけで潰れそうな印象すら感じました。

ただそこは、耐久性に定評のあるシマノ製品。
ベイトロッドモデルは、細くなる1ピース目の玉口に「Gクロスプロテクター」を採用するなど、破損リスクを軽減する高品質な技術が結集されています。

ただ、マルチピースを連結させた継ぎ目は、外観にこだわる人にとって少し残念な仕上がりかもしれません。
もともとマルチピースロッドは、その継ぎ目となるジョイント部分が無塗装の無地。ロッド表面のザラ付きを結合する部分だけ、無塗装のジョイント部分が見え隠れします。
またポイズンアルティマ5ピースは、ハイパワーXのみ、スパイラルXのみ、両方採用している箇所など、パーツごとに表面のザラ付き具合が異なっているので、各セクションを連結した際の一体感はありません。

ブランクスは、巻いたカーボンシートをテーピングしてから焼き上げる製造方法なので、その過程で表面にザラ付きが生じます。ザラ付きはブランクス製法によって異なり、またジョイント部分は無塗装のツルツルなので、どうしても表面の仕上がりに微妙な違いが出てしまいますね。
ザラ付きを研磨してツルツルにすることで、ピースやジョイント部分の違和感が少ないロッドも存在しますが、削り込んだ分だけ柔軟な特性になるようです。
ポイズンアルティマ5ピースは、研磨して見た目の統一感を持たせるより、本来の設計性能をフルに発揮する事を重視したと言えるのではないでしょうか。

継ぎ目部分の見た目に微妙な違いはありますが、仕上がりは丁寧で美しく、5ピースである個性を象徴していると考えれば、十分に納得できる外観クオリティだと思います。

フルカーボンモノコックグリップ(リバースフレアシェイプ)

ポイズンアルティマ5ピースは「フルカーボンモノコックグリップ」を採用。
リアグリップをカーボン化する製法が更に進化し、リールシート後方から一体化された中空構造です。ブランクスを伝わる感度がリアグリップに吸収される事なく、メガホン効果で反響して増幅される、シマノバスロッド定番の技術ですね。

ポイズンアルティマ5ピース 166L-BFS/5は、このカーボンモノコックグリップの形状が「リバースフレアシェイプ」となっています。リバースフレアシェイプは、2021年にフルモデルチェンジしたポイズングロリアス同様に採用された新しい形状。
腕の当たる部分をフラットにして設置面を広げるだけでなく、腕側に逆フレアで突起している事で、キャスティングやロッド操作の適時にグリップがワンタッチする使用感が最高です。

ロッドをガッシリと構えて重めの底物を操作する場合と異なり、ライトリグをシャープにキャスティングし、チョンチョンと操作するベイトフィネス用途では、リバースフレアシェイプの使い心地はかなり良好で、操作性や感度伝達に貢献していると感じました。
パワーロッドに採用されているトライアングルシェイプ形状と異なり、不要な時は存在感を感じさせない「リバースフレアシェイプ」形状が、ライトリグの操作性を損なわず、より軽やかな使い心地を実現しています。

また、一般的な円柱のリアグリップに比べ、リバースフレアシェイプ形状はかなり細身で使い心地が軽く、それでいて必要な設置面が最適に確保されている事で、グリップ力が必要なシーンでのホールド感はアップしているイメージ。
1度使ってしまうと、カーボンモノコックを含む通常のリアグリップ形状が野暮ったく感じるほどです。
リアグリップの形状1つを見ても、実釣性能重視な思想が伺えますね。

キャスティング | キャストフィール、キャスタビリティ

「1ピースと遜色がない」と、最近のマルチピースロッドは良く表現されます。
近年ではセンターカット2ピースモデルでも性能が高い製品が多く、キャストやロッド操作時の力点移動がスムーズ。キャスティングでは継ぎ目の違和感を若干感じる事がありますが、実釣性能では1ピースと差が無くなってきていると感じています。

しかしポイズンアルティマ5ピースは、1ピースとの比較する事、それ自体がナンセンスだと感じました。
「1ピースと遜色が無い」「1ピースに迫る性能」「1ピースを上回る特性」..このどれもがシックリときません。
5分割とかなりパーツ数が多いロッドですが、その神髄はキャスティングで特に強く感じます。

キャストフィール | ロッドの低慣性化がもたらす恩恵

「ポイズンアルティマ5ピース 166L-BFS/5」のキャストフィールは非常にスムーズ。
フルキャストでもショートキャストでも、ピッチングやサークルキャストでも、思った通りにルアーを投げる事ができます。

最初に166L-BFS/5をキャストした際、5ピースである事を感じさせない自然なフィールに期待通りのクオリティを感じつつも、奇妙な違和感を覚えました。
それは、1ピースのような感覚、継ぎ目を感じさせないテーパーといった、良質なマルチピースモデルにありがちな印象ではありません。

表現が難しいのですが、キャスティングを5ピースのバーツが独立して受け持っているイメージ。
つまり、それぞれのパーツセクションが独立して託された用途を満たし、それがキャスティングという1つの結果に連結していると感じました。

これは、ルアーから伝わる重みをロッドが受け止め、曲がり切ったブランクスに溜めたパワーが穂先へ放出されるといった感覚ではありません。ルアーの重みを5ピースそれぞれが分割して受け持ち、各ピースが独自に処理した結果が1つのキャスト結果として成立している印象。
そのキャストフィールは、ルアーの重みやラインのテンションといった、どんなロッドでも共通して感じるはずの負荷が、非常に軽減されています。
頭でキャストをイメージし、体が動作した内容が、まるでモニター越しのテレビゲームを見るかのように、無重力な感覚で実行されるような思いでした。

こうしたキャストフィールは、ロッドの低慣性化による効果も大きいと感じています。
ポイズンアルティマの5ピースは、ティップやベリー、バットなどを適材適所に設計する事で、従来機種より低慣性化を達成。
自分で使ってみるまでは、ベイトリールのスプール回転と異なり、ロッドが低慣性化する事のメリットや有効性は良く分かりませんでした。
実際にキャストしてみると、ロッド自体が非常に軽量であることに加え、使っているルアーを普段より軽く、負荷の少ないフィーリングでキャスト可能。
結果、投げる際の余力が生まれ、より狙った場所にアプローチする事に集中できるようになったと感じています。

キャスタビリティ

シマノのバスロッドはキャスト時のブレが少なく、狙い定めた箇所にドンズバでルアーを投げやすい特性。ポイズンアルティマ5ピース 166L-BFS/5 もその例にもれず、そしてハイエンドモデルに相応しいキャスト精度です。

ただ166L-BFS/5が異なる点は、そのキャスト精度の高さが非常に自然でナチュラルに感じる事。

シマノに限らず、最近のバスロッドには様々なブレ防止の技術や製法が用いられていて、その性能の進化は目を見張るものがあります。
特に、少し不安定なキャストをしてしまった場合や、強風下の悪コンディション時など、ロッド技術がブレを補正してくれている..と実感する事も多いですね。

逆を言えば、こうした最新技術や製法の効果が、キャスティング中のナビゲートとして体感できてしまいます。悪く言えば、技術による矯正機能が微妙なノイズとなって、ナチュラルなキャストを束縛しているイメージ。

ですが、ポイズンアルティマ5ピース166L-BFS/5は、これら最新技術の保護を意識しすぎる事なく、より自然なフィーリングでキャスタビリティを高めてくれていると感じました。
5ピースの適材適所設計、ロッドの低慣性化など...緻密で高度な様々な技術が、優れたキャスト精度をストレスフリーに実現していると言えそうですね。
他のロッドでもキャスト精度は十分優れていますが、狙い定めて投げ続ける事が、よりラクチンで苦になりにくい特性と言えます。

マルチピース最高峰バスロッドの感度

マルチピースのハイエンド「ポイズンアルティマ5ピース166L-BFS/5」は、良好で高い感度を有しています。

しかし、フラッグシップモデル「ポイズンアルティマ」としての超高感度か?..と考えると、明らかに違うと感じました。
ポイズンアルティマ5ピースは、多くのハイエンドバスロッドが持っているような、金属で作られたガラスのようなキンキンで繊細な超高感度では無いようです。

ポイズンアルティマ5ピースシリーズの中では、この「166L-BFS/5」とスピニングモデル「266L-5」が高感度寄りな印象。
ただシリーズ全体を通じて、感度設計に独自なテイストがあるように感じます。

ハイエンドマルチピースロッドとしての感度

端的に言えば、「ポイズンアルティマ5ピース166L-BFS/5」の感度は、軽量で繊細に情報を捉えつつも、全体的にマイルドです。
微妙な地形変化や水中の状況を常時キャッチし続けてはいるものの、五月蠅すぎるような伝達音は控えめ。地形の変わり目、吸い込むようなアタリといった、やや急激な変化のみがピックアップされて強めに伝わるテイストに感じました。

人によってこのマイルドさは、1ピースモデルのアルティマやグロリアスを含め、ポイズンシリーズでは比較的価格が手頃なアドレナよりも感度不足、情報量の欠如を感じるかもしれません。
私自身、番手によっては、センターカット2ピースのポイズンアドレナにも劣ると感じるシーンがありました。

しかしこれは、マルチピースの感度性能に限界がある為..とは考えていません。
例えば、ワールドシャウラのマルチピースモデルでも、機種によってはキンキンな高感度を実現できているので、ポイズンアルティマ5ピースでもそうした高弾性な設計も可能だったハズです。

ポイズンアルティマ5ピースの各セクションは、非常に軽やかで薄くそれでいて丈夫。
ですが、各ピースの手触りからも、極端に高弾性でキンキンな素材では無いと感じました。
これは、マルチピースだから高弾性・高感度に作れない...と言うより、むしろロッドアクションの柔軟性・しなやかさを重視した設計なのではないでしょうか。

実際、高弾性高反発なマルチピースロッドは継ぎ目部分の違和感を感じやすく、特にキャスティング時が顕著です。
高感度であるが故に、継ぎ目部分の違和感がより強調されていると言えますね。

ポイズンアルティマ5ピースは、これまでポイズンシリーズのイメージにあった高弾性高感度を単にマルチピース化したのではなく、バスロッドとしての理想的なアクションを追求した新しいシリーズだと言えます。

高感度に対する方向性

2021年、各社のハイエンドバスロッドがフルモデルチェンジしました。
また、近年のハイエンドバスロッドを見ても、最高感度を追求する設計方針に微妙な変化が出てきたように感じます。
例えばラインテンションの保ち方であったり、釣り人の操作動作がより快適になる..といった、実釣時の使用感を考慮しているデザインが目立ちますね。

ワーミング用の感度重視な機種であっても、穂先だけ喰わせの間を持たせたキンキンな操作感で無く、全体的にマイルドになってきている印象。
フィールドがタフ化し、バスを釣り上げる為に丁寧で繊細なアクションが求められる昨今、バスロッドの進化に新しい軸が出てきてると感じています。

ロッド単体が高感度である事よりも、一連の釣り動作において感度を掴み取りやすい特性こそが、今の時代に求められているのかもしれません。
そう感じた理由を次項の操作性で紹介します。

使用感 | 操作性、フッキング、パワー

ハイエンドロッドを単にマルチピース化したのではなく、バスロッドアクションの理想を追求した為のマルチピース。このポイズンアルティマ5ピースの謳い文句は、ロッド操作を使い込んでいく内、自分の中で「こういう事なのか?」と浸透していきました。
特にフィネス用途なモデルである166L-BFS/5は、そうした特性が分かりやすい機種だと思います。

操作性

「ポイズンアルティマ5ピース 166L-BFS/5」は、FF(エクストラファースト)アクションテーパー。
手で曲げ込んでみた感覚ではベリーが柔軟で、レギュラーファーストに近いイメージを受けましたが、実際に使ってみるとそこから更に穂先が1段階繊細な使用感。
トップガイドから2番目ガイドまでのティップ部分だけで、ライトリグによる誘いが繊細に操れます。
ロッドアクションでミノーやシャッドを操作する時は穂先からベリー近くまでを柔軟に活用でき、釣り人の入力に応じてロッドがシームレスに追従してくれる印象。
マルチピースである違和感もなく、負荷に応じた多段変化といった極端な味付けも感じられず、1本のしなやかなロッドがシーンに応じて様々な変化を見せてくれました。

キャスティング時にも感じた事ですが、5ピースの各セクションが与えられた用途をそれぞれ個別に処理し、1つのロッドアクションを成立させているような不思議な印象を受けます。
これは決して違和感があるという事ではなく、1本のロッドで操作している感覚すらもキレイに分割され、まるで何も手にしていない無重力状態でルアーを思いのままに操作しているようなイメージ。

公式サイトなどの紹介文でも、ポイズンアルティマ5ピースは、適材適所の設計で低慣性化を達成した事がアピールされています。「ロッドが低慣性化する」という感覚は、ロッドの存在すらも薄れるような、自分の意識だけがルアーを操作するイメージなのかもしれません。
特に、ライトリグで細かく繊細に長時間誘うような状況で、それを顕著に体感しました。

そして、ロッドの存在が薄れるようなこの操作性は、自分とルアーがより直感的に連結したイメージを生み出します。特別に集中力を意識することなく、水中のルアー状況や微妙なアタリなどが捕らえやすい状況。
結果として、ロッドの操作性が釣り人自身を感度アップさせてくれているような特性だと感じました。

フッキング

166L-BFS/5は、繊細でしなやかな細身のロッド。
曲がり込んでからの復元力は高いものの、超高弾性な強いイメージはなく、ブランクスにもハリを感じすぎません。シャープすぎず、適度にクイックなレスポンスを実感できる柔軟性があります。

それでいて166L-BFS/5は、軽いフッキングでもしっかりとバスの上顎を貫通。
ハリのあるロッドや、高弾性な復元力・反発力といったパワーで掛けるフッキングとは異なり、5ピースの各セクションが役割をキレイに分担してしっかりと掛けてくれるイメージです。

どちらかと言えば、フッキングにはロッドの復元力・反発力、若干のハリがあった方が良いと思っていました。曲がりすぎるロッドは、(本来の基本通りに)キッチリとバットで合わせ切らないとフッキングが決まらない印象。
しなやかな166L-BFS/5も、キッチリ合わせないとフッキングが決まらなそうだな..と感じていたのですが、意外と軽い力でもロッド全体が個別に連動して働き、高いフッキング率を実現しています。

パワー

▲ブランクス全体に総合的なパワーがあり、フィネスに限らず、比較的大型なリールでも活用可能

「ポイズンアルティマ5ピース 166L-BFS」は、デカバスでも非常にやり取りしやすいロッドです。
繊細なベイトフィネスで大物とのファイトにも余裕があるメリットは大きく、このロッドで一番気に入ってるポイントと言っても過言ではありません。

166L-BFS/5は、ガチガチの硬さや粘り強さといった強引なパワーはありませんが、ロッドの各セクションが適度に負荷が分散し、魚の引きを上手に吸収して必要以上に暴れる事を防ぎます。
ブランクスの各パーツがキッチリと機能し、バスをグイグイと寄せる動作も快適。
ストラクチャーに巻かれてしまった状況でも、ジワジワと耐えながら丁寧に魚を寄せて、ラインブレイクする事なく引き剥がす事ができました。

シマノのベイトフィネスロッドはLパワーモデルが多く、魚を寄せるパワーが少し物足りないと感じる事も。ですが、同じLパワーでも、166L-BFS/5はロッド全体が連動するアクションが秀逸で、かなり魚を寄せやすい特性。
パワフルな強引さとも粘りとも違う、絶妙なロッドアクションによる総合的なパワーを感じました。

まとめ

フラッグシップシリーズの名を掲げた「ポイズンアルティマ 5ピース 166L-BFS/5」は、バス用マルチピースの最高峰として申し分がないクオリティ。
特に、5ピースだから..ではなく、5ピースであるが故のロッドアクションが最高です。

シームレスに1本として完成されたイメージではなく、各セクションのパーツが独立して機能し、連結して1つの目的を達成する。今までのバスロッドとは異なる、ポイズンアルティマ5ピースだけが持っているテーパーデザインを感じました。

トーナメントスペックのバスロッドアクションを理想的に追求した分、継ぎ目の違和感などに繋がるような超感度についてはマイルドな仕上がりです。
ですが、ロッド自体で奏でる感度以上に、その抜群の使用感・操作性能が釣り人自体の感性を向上させてくれるイメージ。

確かに、最高峰ロッドのマルチピース版..としては物足りないと感じるか方もいらっしゃるかもしれません。しかし、5ピースでしか実現できなかった最高峰として、もう1つの理想形を感じる事ができました。

166L-BFS/5 はあまりに高価で、かつバス用に特化したパーフェクトなベイトフィネスロッド。
万人におすすめできるロッドではありませんが、ベイトフィネスのキャスティングや操作性に極上のフィーリングを求めるのであれば、1度手にしてみて欲しい1品です。

繊細かつ軽やかで、バスとのファイトにも余裕がある仕上がりは、ボートに限らず、オカッパリでも最高の使用感を発揮してくれますね。
コンパクトに収納できるので、ちょっとした時でも懐に忍ばせておける...そんな利便性を大きく上回る実性能をも兼ね備えています。

166L-BFS/5 に合わせるリール

ポイズンアルティマ5ピース 166L-BFSに合うリールは、やはりベイトフィネス専用リールが最適。
軽量なロッド本体に合わせて、「シマノ 16 アルデバランBFS」がおすすめです。
メーカーを統一する事にこだわりが無ければ、1g台からでも安定してキャスト可能な「ダイワ スティーズ AIR TW」も有力候補。

また、ロッドの芯が強く、カバーに潜られた大物にも十分対抗できるので、ライト寄りなバーサタイルリールも選択肢に。やや強めのベイトフィネスやライトバーサタイルな使い方が、マルチピースのメリットを広げてくれます。
「シマノ 18 アルデバラン MGL」「ダイワ スティーズ CT SV TW」であれば、そうした用途にも最適ですね。

その他のタックルインプレッション

他にも様々なタックルのインプレをレビューしているので、参考にしてみてください。

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